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最高法院再審

聯徳の訴訟チームは今まで最高人民法院における二十件近くの知的財産権の二審、再審査、又は再審査請求案件で勝訴しており、近年、最高人民法院における知的財産権訴訟案件の取扱い件数及び勝訴案件数の最も多いチームの一つである。

各地の高級人民法院が下し、すでに効力の発生した知的財産権に関する終審判決や裁決に対して、最高人民法院へ再審査を申請し、これは知的財産権訴訟実務において最も挑戦的であり、成功も最も難しい高レベルの業務である。ここ数年、聯徳訴訟チームは十数年の知的財産権訴訟代理実務で積み重ねた豊かな経験と戦略を活用し、最高人民法院で二十件近くの知的財産権の二審、再審査又は再審査請求案件において相次いで勝利を収めた。故に、聯徳が近年、最高人民法院における知的財産権訴訟案件の取扱い件数及び勝訴案件数の最も多いチームの一つとなっており、聯徳訴訟チームが知的財産権訴訟分野で優位を占めたことは更に証明された。

聯徳訴訟チームの弁護士が、ここ数年最高人民法院で勝訴した知的財産権二審、再審査又は再審査請求案件には下記のケースがある。

1、最高人民法院(1999)知終字第1号、技術譲渡の契約違反及びノーハウ侵害紛争の二審案件

2000年115日、蒋洪義弁護士が依頼人を代表し、最高人民法院にて技術譲渡契約の契約違反及びノーハウ侵害紛争案件の二審で勝訴し、某省の高級人民法院が出した一審判決は最高法院に取り消された。最高法院は当該案件で、技術譲受人が譲り受けた技術を改善し、無断に当該技術を譲渡する行為は、譲渡側のノーハウを侵害する行為に当たると同時に、技術譲渡契約の違反にもなるので、技術譲受人が契約違反及び権利侵害により生じた法的責任を負わなければならないと指摘した。

2、最高人民法院(2005)民三提字第1号特許権侵害紛争再審査案

この案件は、当所訴訟チームのメンバーが嘗て成功に代理した特許権侵害判定の新基準を確立し、中国の特許権裁判史上記念すべきな意義をもつ画期的な判例である。最高人民法院はこの案件に対する再審査を通じ、「余計指定の原則」の特許権侵害判定における適用を否決し、また当時の特許権審査実務において発生していた「均等の原則」の濫用状況を是正した。

3、最高人民法院(2007)行提字第2号商標権取消紛争再審査案件

この案件は、当所訴訟チームのメンバーが成功に代理した中国商標裁判史上、記念すべきな意義をもつ画期的な判例である。この案件の意義の重要性は、最高人民法院が初めて司法判例の形式で「パリ条約」の関連規定に対する解釈の内容を確認し、さらに、それを国内の知的財産権に関する法条文を解釈する根拠とし、中国の知的財産権の司法保護基準が「(工業所有権の保護に関する)パリ条約」との一致を確保したことにある。

4、最高人民法院(2009)民提字第20号特許権侵害紛争再審案件

この案件は、当所訴訟チームが成功に代理した特許権侵害判定の新基準を樹立し、中国の特許権裁判史上記念すべきな意義をもつもう一つの画期的な判例である。最高人民法院はこの案件に対する再審査を通じ、「禁反言の原則」の適用範囲を拡大した。即ち、特許権者が特許権授権或いは無効審判において放棄した技術案は、この放棄行為が、関連した特許出願又は特許に新規性と進歩性を有するためであろうか、特許権法に規定された他の授権条件に符合させるためであろうか、審査員の要求により受動的に修正されたか、特許の出願人又は特許権者が自発的に修正したか、一切問わずに「禁反言の原則」の法的効果が成立すべきである。

5、最高人民法院(2008)民申字第613号商標権侵害紛争再審査請求案件

この案件は、雲南滇虹製薬集団股份有限公司が汕頭市康王精細化工実業有限公司を商標権侵害と訴えた案件である。この案件において、汕頭市康王社は雲南省高等人民法院が下した(2007)雲高民三終字第24号民事判決を不服とし、最高人民法院に再審査を請求した。蒋洪義弁護士が雲南滇虹社の代理人として応訴した。20081220日、最高人民法院は(2008)民申字第613号民事裁定を下し、汕頭市康王社の再審査請求を却下した。

6、最高人民法院(2009)民申字第861号特許権侵害紛争再審査請求案件

この案件は、フランスのアベンーティス薬物股份有限公司が医薬品発明特許権侵害と不正競争で江蘇省恒瑞医薬股份有限公司を訴えた案件である。この案件において、アベンーティス社は上海市人民高等法院が下した(2006)滬高民三(知)終字第112号民事判決を不服とし、最高人民法院に再審査を請求し、蒋洪義弁護士と劉永全弁護士は恒瑞社の代理人として応訴した。20091217日、最高人民法院は(2009)民申字第861号民事裁定書を下し、アベン-ティス社の再審査請求を却下した。

この案件の一審判決は恒瑞社がアベンーティス社の二つの医薬品製法特許権を侵害したと判断したが、蒋洪義弁護士と劉永全弁護士は二審において恒瑞社の代理人として抗弁し、最終的に一審判決の権利侵害の結論を覆すことに成功した。上海市高級人民法院は終審判決において、アベンーティス社が主張した二つの特許権侵害が成立しないと判決を下した。

7、最高人民法院(2009)民申字第1680号商標権侵害訴訟管轄権異議申立再審査請求案件

この案件は、湖南省夢潔家紡股份有限公司が石家荘夢潔実業有限公司を登録商標専用権、著作権侵害と訴え、また不正競争紛争管轄権に対して異議申立をした案件である。この案件において、左玉国弁護士と張曄華弁護士は被告である石家荘夢潔家紡股份有限公司を代理し、湖南省人民高等法院が当該案件の管轄権への異議に対する(2009)湘高法立民終字第34号民事裁定を不服とし、最高人民法院に再審の申請を提出した。20091221日、最高人民法院は(2009)民審字第1680号民事裁定書を下し、石家荘夢潔家紡股份有限公司の再審査請求を支持し、湖南省人民高等法院に当該案件に関する管轄権への異議申立に対して再審するよう命じた。

8、最高人民法院(2010)民申字第773号特許権侵害紛争再審査請求案件

この案件は、北京英特莱摩根熱陶瓷紡績有限公司が北京徳源快捷門窓廠を発明特許権侵害と訴えた案件である。この案件において、被告の徳源社は北京市高級人民法院が下した(2009)高民終字第4721号民事判決を不服とし、最高人民法院に再審査請求を行った。蒋洪義弁護士と劉永全弁護士が北京英特莱摩根熱陶瓷紡績の代理人として応訴し、2010623日、最高人民法院は(2010)民申字第773号民事裁定書を下さい、徳源社の再審査請求を却下した。 

9、最高人民法院(2010)知行字第28号商標取消行政訴訟再審請求案

2010年96日、最高人民法院は国家工商行政管理総局商標評審委員会が提出した「国医」商標取消行政訴訟案への再審査請求につき、(2010)知行字第28号再審査請求却下通知書を下し、商標評審委員会の再審査請求を却下した。当所は本案件で被請求人を代理し、勝訴した。本案件は知的財産権行政訴訟によくある当事者に訴訟の段階で提出された新証拠を採納すべきであるか否かという問題の解決に非常に意味がある。

最高人民法院は下した本案件の却下通知書にて、初めて判例の形で、当事者が行政手続で未提出の証拠を人民法院が行政訴訟手続きで採納すべきであるか否かについて、態度を明確にした。最高法院は、「行政訴訟の証拠の若干の問題に関する最高人民法院の規定」第二条に基づき、原告が行政手続きで提出しなかった反論理由や証拠を提出することができると示した。当該司法解釈の第59条は新たに提出された証拠を人民法院が受け入れないと規定したが、適用条件がある。即ち、通常、原告が法により提供すべきであるにもかかわらず、提供を拒否した場合に限る。人民法院は当事者が提出した新証拠を一切受け入れないことでもない。

10、最高人民法院(2010)民申字第186号商標権侵害紛争再審査請求案

当該案件において、上海強生製薬有限会社(米ジョンソン社の中国関連企業)が使用した2008年北京オリンピックスポンサー標識に文字「強生」が含まれたので、吉林省高級人民法院は上海強生社に対して、西安強生製薬有限会社(米ジョンソン社と無関係の国内資本企業)の登録商標「強生」を侵害したと終審判決を下し、1000万人民元の損害賠償金を命じた。

本所は上海強生社を代理し、最高人民法院に対して再審査請求をすると同時に、上記の間違った有効判決を吉林省の関連法院に延期執行させるよう最高人民法院に至急要請した。最高法院は迅速に当該案件への再審査手続きを起動し、また、関連法院と調整し、案件の再審査期間中、上記有効判決の強制執行を中止した。

最高法院の調整により、本案は最終的に和解の形で解決した。西安強生社は商号「強生」の使用を停止し、権利譲渡によって、自社が有した文字「強生」と関連するすべての民事権利を上海強生社の名義にした。

11、最高人民法院(2009)民申字第1532号特許権侵害紛争再審請求案

当該案件において、拜爾農科股份有限公司(フランス)と拜耳作物科学(中国)有限公司は、安徽華星化工股份有限公司に対し、その中国で有する農薬結合物発明特許権を侵害したことを理由に特許権侵害訴訟を提起し、損害賠償金2000万人民元を請求した。当該案件の一審、二審訴訟手続きで、天津市第一中級人民法院も天津市高級人民法院も原告の訴訟理由を却下し、華星社が権利侵害に該当しないと認定した。拜爾社と拜耳(中国)社は上記判決を不服とし、最高人民法院に再審査請求をし、当所の訴訟チームは当該手続きで華星社を代理した。

当該案件は再審査手続きにおいて、争点が二つある。即ち、①華星社は農薬の審査登記に必要な畑での試験を行うため、本案件の特許権保護範囲に属する農薬の結合物を少量に生産した。当該行為は特許権侵害に該当するか、換言すれば、特許法の人用医薬品のための「Bolar例外」原則は農薬にも適用できるか;②華星社による関連薬用化合物(即ち、本案件の特許権の保護する農薬結合物の活性成分)の生産販売行為は、本案件の特許に対する間接侵害に該当するかどうか。

最高法院は本案件につき、民事裁定書を下し、上記二つの争点に対する立場と観点を明確にした。その関連する観点は当所代理人が提出した代理意見を支持し、今後、中国の特許権侵害訴訟にとって重要な参考になっている。

①「Bolar例外」原則を農薬特許に適用すべきかについて、三回目修正後の中国特許法第695項は、薬品や医療機械の特許について国際で公認された「Bolar例外」原則を確立した。即ち、「行政上の審査・認可に必要な情報を提供するために、特許医薬品又は特許医療機械を製造、使用、輸入、及び専らその者のために特許医薬品又は特許医療機械を製造、輸入する場合、特許権侵害と見なさない」。但し、上記医薬品や医療機械の特許を対象とした権利侵害免除原則は農薬特許に適用するか否か、関連法律にも司法解釈にも規定はない。この問題に対し、最高人民法院は本案件の裁定書にて、以下の通りに言明した。即ち、「華星社は農薬行政管理部門へ農薬登記証書申請に必要な農薬薬効のデータと情報を提供するために、本案件の特許の保護範囲に属する農薬製品を畑で薬効試験中において、必要な本案件の特許農薬製品を製造使用し、特許の正当利用に非合理的な抵触をもたらしたこともなければ、特許権者の正当利益を非合理的に損害したこともないので、特許権侵害と見なされるべきでない」。この観点は実質上、最高法院が「Bolar例外」原則を農薬特許にも適用すべきであると意味している。

②特許権侵害訴訟の実務において、間接侵害理論を継続適用すべきかについて、本案件において、再審査請求人が持つ重要な請求理由の一つは、華星社が関連薬用結合物(薬の原料)を製造販売した行為は、自分の農薬結合物特許への間接侵害に該当し、且つ嘗ての司法実務において権利の間接侵害理論は一般的に認可された。この争議問題につき、最高法院は裁定書にて、下記の通りに明確した。即ち、「製造行為自体が当然のように教唆又は幇助行為に該当することではないので、華星社によるフィプロニル化合物の製造行為も権利侵害の教唆又は幇助行為に該当しない」。この観点は実質上、従来の中国特許権侵害訴訟の実務における間接侵害理論の継続適用を否定した。

12、最高人民法院(2009)民三終字第6号特許権侵害紛争二審案

2010年123日、最高人民法院は(米国)イーライリリー社(ELILILLYAND COMPANY)が江蘇豪森薬業株式有限会社を訴えた特許権侵害訴訟案につき、(2009)民三終字第6号民事判決書を下した。当該判決は、江蘇省高級人民法院が下した(2003)蘇民三初字第001号民事判決を維持し、イーライリリー社の訴訟理由を却下し、豪森社は関連特許を侵害しなかったと認定した。

本案件は中国医薬業界に重大な影響を与えた非常に複雑な特許権侵害案件であり、通常の特許権侵害案件と比べ、以下のような特徴を有する。即ち、①本案件は特殊製品に関わっている。即ち、関連製品は通常の商品ではなく、ゲムシタビンという抗癌剤である;②案件は複数の特許に関わっている。即ち、本案件において、イーライリリー社は計三つの特許を以って特許権侵害訴訟を起動した;③案件は複数の複雑な法律と技術問題に関わる。即ち、新製品の製造方法の立証責任、特許請求の範囲は明細書に支持されるか等の多くの複雑な法的問題と技術問題に関わる;④案件の審理過程には多くの紆余曲折があった。即ち、この案件につき、嘗て江蘇省高級人民法院が(2001)蘇民三初字第001号民事判決を下したが、イーライリリー社は不服し、最高人民法院に上訴した。その後、最高人民法院は(2002)民三終字第8号民事判決書を下し、江蘇省高級人民法院の判決を取り消し、案件を江蘇省高級人民法院に差戻し、再審を命じた。江蘇省高級人民法院は再審を経て(2003)蘇民三初字第001号民事判決を出し、イーライリリー社は再度不服を申し立て、最高人民法院に上訴した。最高人民法院は2009811日、20101029日付で二回に亘って当該案件を開廷審理し、2010123日を以って終審判決を下した。ここまで、この特許権侵害訴訟は10年近くを亘ってようやく決着した。

聯徳訴訟チームは当該案件において豪森社を代理した。二審手続きにおいて、当所代理人は本案件に関わった数多くの複雑な法律問題および技術問題を深入り検討し、関連代理観点が最高人民法院に認められ、勝訴をした。

当該案件は20114月に最高人民法院に「2010年度中国知的財産権司法保護10大典型案件」の二位に選ばれた。

13、最高人民法院(2009)民申字第838号権侵害紛争再審査請求

当該案件はメディアに「中国食品業界知的財産権第一案」と呼ばれ、メディアに大量に報道され、大きな反響を呼んでいた。当該案件で、国内インスタントラーメン業界でトップスリー入りの河南省正龍食品有限公司(白象食品グループの中核企業)は、国内最大のインスタント春雨のメーカーである四川白家食品有限公司を、長年に亘ってインスタント春雨製品に「白家」縦式商標を使い続け、自社のインスタントラーメンに登録した「白象」縦式商標権を侵害したと訴えた。

鄭州市中級人民法院及び河南省高級人民法院は、本案件の一審、二審判決で、原告側の正龍社が提供した「白象」縦式商標の大量使用の証拠により、当該商標が高い知名度を有し、より強い保護を受けるべきであると判断し、白家社による「白家」縦式商標の使用が原告側の縦式の登録商標「白象」に対する商標権侵害に該当すると判決を下した。上記一審、二審判決は2009年の初め頃に最高人民法院の「2008年度中国知的財産権司法保護十大典型判例」に入選された。

白家社にとって、当該商標がインスタント春雨製品に自主創立し、10年近くをもかけて育てて使い続けたメインのブランドであるため、上記判決は疑いもなく致命的であった。その後、国家工商行政管理総局商標局はまた「類似商品及び役務区分表」を調整し、商品「インスタント春雨」を「インスタントラーメン」の類似群に帰属させた。即ち、インスタント春雨とインスタントラーメンが類似商品に該当することをより明確にした。正龍社がインスタントラーメンにも防護的に「白家」商標を先登録しているので、この新しい状況下において、白家社は今後のインスタント春雨製品に文字「白家」を含む商標も一切登録も使用もできなくなり、国内インスタント春雨製品のトップブランドであり、市場シェアが45%に達した「白家」マークを放棄することに余儀なくされた。

このような厳しい状況の中、白家社は上記判決につき、最高人民法院に再審査を要請するよう当所の訴訟チームに依頼した。当所の弁護士たちは案件を深入り検討したうえ、元判決の証拠基礎に問題があると鋭く発見した。その後、正龍社の歴年の製品包装図という形で出願した大量の意匠の図面、及びインタネットライブラリー(www.achive.org)に保存された正龍社のウェブサイトに掲載された各時期の製品写真を調べ、成立されてからこれまでの正龍社が実際に使用してきた白象商標を証拠として入手した。それを以って、原告側が起訴の根拠にした「白象」縦式商標が実際に防御的登録に過ぎず、原告による当該商標の実際の商業的使用がなく、また、本訴訟で原告側が提出した商標使用証拠がいずれも対象の「白象」縦式商標ではなく、他の白象商標の使用証拠であるので、案件対象の「白象」縦式商標が大量の使用によって高い知名度を得たと元判決が認定したが、客観的、真の事実基礎を欠けていることを証明した。

上記理由と証拠に基づき、当所弁護士は白家社を代理し、2009721日に最高人民法院に再審査を要請した。最高人民法院は白家社の再審査請求理由を非常に重視し、早速200997日に当事者双方を召集し、ヒアリングを行った。本案件の基本的な事実を判明した上、最高人民法院は商標局がインスタント春雨をインスタントラーメンの類似群に帰属させ、正龍社が先にインスタントラーメンに「白家」という文字商標を登録した事実を踏まえ、更にインスタント春雨産業の発展史や白家社がそのために貢献したことも考慮し、当事者双方を和解するよう説得した。そのために最高人民法院は斡旋協調し、最終的に2011124日付で双方を和解に達成させた。和解協議により、白家社は商標局に別途に「白家陳記」商標(「陳記」が白家社の法定代理人の苗字である)を出願し、インスタント春雨製品に「白家」若しくは文字「白家」を含む商標を登録も使用もしないことにした。一方、正龍社は、上記白家社によるインスタント春雨に「白家陳記」商標の登録及び使用に対し、異議申立、争議乃至訴訟をせず、正龍社もインスタント春雨やインスタントビーフン製品に「白家」又は文字「白家」を含む商標を使用しないことを承諾した。

14、最高人民法院(2010)民申字第1372号特許権侵害紛争再審査請求案

15、最高人民法院(2010)民申字第1373号特許権侵害紛争再審査請求案

当該両案件は、湖南科力遠新エネルギー株式有限会社は同一の特許に基づき、英可高新技術材料(大連)有限会社及び英可高新技術材料(瀋陽)有限会社を特許権侵害と訴えた関連訴訟である。英可大連社も英可瀋陽社も世界一のニッケルメーカーであるカナダの英可社が中国で設立した合弁会社であり、カナダの英可社は世界トップ500社入り、世界でトップに占める鉄鉱企業であるブラジルのヴァーレ社の100%出資の子会社である。上記案件は一審も二審も、両英可社が特許権侵害に該当したと判決し、賠償金額が計5458万人民元にも達し、「正泰がシュナイダー社を訴えた特許権侵害案件」に次いだ二番目の特許権侵害賠償案件となった。

この案件は近年、中国知的財産権保護実務において、徐々に台頭する新たな現象をより明らかに示してくれた。即ち、中国企業の創出能力及び知的財産権への関心の高まりに伴い、中国での国際企業は如何に中国国内企業に提起された特許権侵害訴訟を避けたり、対応したりするかという新型の法的問題に直面しなければならないということである。

上記案件に関わった特許は科力遠社が持っているZL95102640.2号「スポンジ状発泡ニッケルの製造方法」である。発泡ニッケルは電気自動車等の製品に用いられるニッケル水素電池の基礎原料であり、科力遠社は当該案件の訴訟を利用して英可瀋陽社と英可大連社を買収し、或いは後者を関連製品市場から退かせ、市場構造の建て直しを意図した。従って、当該訴訟は我が国の新エネルギー業界に重大な影響を与えることになり、広く注目されていた。

当該案件の二審判決が下された後、英可瀋陽社と英可大連社が不服し、最高人民法院に再審査を要請したが、眼前に生産停止や巨額の賠償金に責められ、それまでに案件への応訴を主導していたカナダの英可社は再審査の見込みを疑い、最終に中国市場から身を引くことにし、自社の持っている英可瀋陽社と英可大連社の全ての株式を低価で譲渡した。資本再構成後、英可大連社は愛藍天高新技術材料(大連)有限会社(Alantum Advanced Technology Materials(DaLian)Co.,Ltd)に、英可瀋陽は愛藍天高新技術材料(瀋陽)有限会社にそれぞれ社名変更し、案件の代理チームをも変え、引き続き案件の再審査請求を進めた。

最高人民法院で行われるヒアリングの直前に、当所の訴訟チームは依頼を受け、主要代理人として本案件に介入した。当所の弁護士たちは非常に緊迫した状況下で、自分自身の豊富な特許訴訟経験と鋭い洞察力を頼りにし、案件解決の糸口を速やかに掴み、それに基づき、訴訟戦略と方向の調整を依頼者に提案し、改めて最高人民法院へ再審査請求を提出した。

最終に、当所の弁護士が上記両案件で提出した代理意見は最高人民法院に採納された。2011414日、最高人民法院の王勝俊院長は当該両案件につき、民事裁定書を下し、江蘇省高級人民法院を指定し当該両案件を再審査すると共に、元判決の執行中止を命じた。

 

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