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権利者の消滅になった引用商標は後願商標の登録にとって阻害になるか?

時間:2016-08-05      ソース:

2016-08-05

最近、北京知識産権法院と北京市高級人民法院の判決書は、引用商標の権利者が消滅になって、且つ、権利義務の承継がない場合、当該商標が依然と先行して有効商標であるにしても、後願商標の登録にとって権利の支障にならないはずであると表明した。具体的な案件の状況は下記の如きである。即ち、
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商標出願: 20131021日、星雲智熵科技(北京)股份有限公司(以下、星雲智熵社)は国家工商行政管理総局商標局(商標局)に対して、第13397364号「ET及び図」商標(出願商標)を登録出願し、指定商品が第9類の「磁気ディスク、コンピュータ用プログラム(記録済)」等である。
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拒絶:商標局は2014109日に『商標拒絶通知書』を下し、出願商標と第7085701号登録商標「颐泰ET及び図」と類似商品に使用する類似商標に該当すると判断した。当該商標の専用期限が20201013日までで、現在の権利者が広州市智麟市場開発有限公司(以下、智麟社)である。
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拒絶再審:星雲智熵社は不服し、国家工商行政管理総局商標評審委員会(以下、商標評審委員会)へ再審請求を提起した。商標評審委員会は2015612日に商評字[2015]49921号再審裁定を下し、出願商標と引用商標一が同一種類又は類似商品に使用する類似商標に該当し、星雲智熵社の提出した証拠が出願商標が使用によって一定の知名度を有し、関連公衆に出願商標と引用商標一を区別される証明に不十分であると判断した。出願商標が再審商品についての登録出願を拒絶すると決定した。
 
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行政訴訟:星雲智熵社は不服し、北京知識産権法院へ行政訴訟を提起した。星雲智熵社は一審訴訟の段階で広州市海珠区工商行政管理局登記記録調査資料を追加提出し、智麟社が2010818日に登記抹消されたことを証明した。
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一審判決:北京知識産権法院は、出願商標が引用商標一と類似商標に該当すると判断した。しかし、引用商標の権利者である智麟社が工商行政管理機関に登記抹消され、引用商標一が現在有効商標であるが、その権利主体が既に存在しないので、その商標専用権も権利の基礎を失っている、且つ、当該引用商標が長い間に使用されておらず、出願商標と市場で混同を生じなく、出願商標の登録にとって権利の支障にならないはずである。判決:一、訴訟対象の決定を取消す。二、商標評審委員会に新たに商標拒絶再審決定を下すよう命じる。
商標評審委員会は一審判決に不服し、上訴をした。その理由:1)星雲智熵社が一審訴訟の段階で提出した証拠は評審段階で提出されていなかったので、受け入れるべきでない。2)智麟社は登記抹消されたが、引用商標は先行して有効な商標であるので、出願商標が登録され得るか否かを評審する根拠にすべきである。
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二審法院判決:北京市高級人民法院は、上訴を却下し、一審判決を維持する終審判決を下した。主な理由:
1
)商標の権利付与・権利確定に係わる争議の実質的な解決を実現させるため、必要でない手続きの重複に陥ることを避けるべきである。星雲智熵社の追加提出した新証拠は受け入れられるべきである。
2
)商標登録人が既に存在しなければ、商品の出所を区別する当該商標の機能も喪失になる。引用商標の権利者である智麟社は2010年に抹消され、その法律主体としての資格が滅失になり、抹消される前に商標権利に対して処分をせず、出願商標が登録されうるか否かを評価する根拠にすべきでない。

コメント:

当該案件は、商標出願人にとって、商標局が中国現行の商標法第三十条に基づき、商標登録出願を拒絶した時に、もう一つの応対する考え方を提供した。即ち、引用商標の権利者がまだ存在するかを考慮する際に、既に消滅になった場合、上記判例のような権利救済で、登録を求めることができる。

本案件で2点に注意する必要がある。即ち、
1
  引用商標の権利者が消滅後、一定の時間が経たなければ市場における混同が生じないと推定できない。企業の登記抹消時間が短かく(例えば、一年未満)、且つ、商標は企業が抹消されるまでに継続使用され、商標の市場における識別力がまだ残された場合、完全に混同が生じないと断言できない。
2
  本案件で、引用商標には譲渡又は移転がないので、あったとすれば、判決が異なるはずである。


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