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中国国家知的財産権局の同一商標の同意書審査に対する態度の変化

時間:2020-01-16      ソース:LexField

張麗姣

 

• 引用商標を克服する方法として用いられる一般的な戦略としての同意書。

• 出願商標と引用商標が完全に同一という状況下では、同意書の成功率は明らかに低い。

• 巧みに同意書を制作し、商品役務を同意書に加える(同一商標の同意書を含む)ことで受け入れられる可能性を上げる。

 

1.  案件の経緯

先日、中国国家知識財産権局(以下、「CNIPA」)は、拒絶査定不服審判でアメリカの会社の提出した二件の同一商標に関する同意書を受け入れました。当該案件で、CNIPAは二つの同一の商標について、(仮に「ABC」とする)用途が異なるソフトウェア製品での併存は関連公衆に誤解を招くことはないとして、初歩審査で出願商標の登録を認めました。


2.  同意書の意義及び影響

同意書は先商標の所有者による書面で、後続の他人に同一又は類似の商品役務において同一又は類似の商標の登録と使用を認めるものです。

『商標法』には明確な同意書についての規定はありませんが、同意書は、実際には、引用商標克服のため商標出願人によく使われる一般的な救済手段となっています。しかし、CNIPAは無条件でこの同意書を受け入れるわけではありません。各当事者の利益以外にも、CNIPAは当該案件の商標の併存が公衆の利益を害すことがあるかどうかまで考慮に入れます。商標が同じという状況下では、CNIPAは一般的に同意書について非常に保守的な態度を貫き、同一商標が併存すれば混同を招くことは避けられず、公的利益を害するとして、当該同意書を拒絶する傾向がありました。

当該案件はCNIPAの同意書に関する態度が、徐々に柔軟になっていることを示しています。双方商標は同一の商標で、その指定商品も両方ともコンピュータソフトウェアですが、CNIPAは双方のコンピュータソフトウェアの機能の違いや対象消費者の違いを十分に考慮し、双方の商標の併存によって混同を招くことはないと認定しました。

CNIPAは個別審査の原則を採用していますが、当該案件は、いずれにせよ今後の案件において先例として参考とされるものになります。

3.  出願人が同意書によって引用商標を克服するための実用的な技術

同意書を、同一商標を克服する補助的な救済手段として利用する場合のアドバイスとして以下の二点があります。

a.   新規出願を行う場合、混同を招くと判断される可能性を減らすために、限定的な単語で指定商品及び役務を説明することをおすすめします。限定的な単語によって表現することは、引用商標の所有者から同意書を獲得できる可能性を上げ、またCNIPAを説得する際にも役立ちます。

b.   同意書では、それぞれの商標の指定商品役務の違いについて詳しい論述を行うことをおすすめします。例えば、機能の違い、対象消費者の違い、又は実際の使用方法を含む実際使用に関する情報などについて具体的に述べることをおすすめします。これらの違いについての論述は、審査官の自由裁量に影響し、審査官にこれらの商標が併存しても実際の使用において混同を引き起こすことはないと信じさせ、同意書を認めさせることに役立ちます。







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